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「第2障害、勝負どころのばんえいポイントへやってまいりました」−。帯広競馬場に通い慣れた人なら、実況アナウンサー井馬博さん(58)お得意のこのフレーズを、一度ならず耳にしたことがあるはずだ。
開催日の正午。実況放送室の机には双眼鏡と過去のレース展開を詳しく書き込んだノートが置かれていた。井馬さんは騎手と馬が一目で分かるよう、12レース分の出馬表を色分けしながら、「聞いただけで展開が浮かぶような実況を心がけている」と力を込めた。
網走管内生田原町(現・遠軽町)出身。小学生のころは、五輪や野球の実況放送に胸を踊らせた。「選手よりアナウンサーにあこがれた。少し変わった子でしたね」。東京の大学を卒業後、テレビ局を志望したが、それがかなわず、北見などで7年間会社勤めをした。
転機は同僚の結婚式だった。余興で披露した競馬の実況が、同席していたばんえいファンの目に留まり、今の仕事を紹介された。
アナ人生は28年に及ぶ。「ミスターばんえい・金山明彦騎手のラストレースとパワスキーの鋭い差し脚は忘れられない」と、もっとも印象に残ったレースを回想した。
第2障害をどう越えるかが勝敗を分けるばんえい競馬。1レース約3分という短い時間の中で、「第2障害に至るまでの騎手の駆け引きが『間』を生む。それをうまく伝えるのが私の腕の見せ所です」
毎週末、自宅のある北見市から車で競馬場に通う。2年前、入院して3日間だけ実況を休んだが、「生涯現役で、ばんえいならではのロマンを伝えたい」。ベテラン・アナは胸に秘めた意欲を静かに語った。 |