北海道新聞帯広支社
Hokkaido shimbun press Obihiro branch




 当エッセー教室は、北海道新聞帯広支社が主催。現在帯広はじめ鹿追、大樹、芽室、上士幌の計5会場で開いており、合わせて90人を超す方々が専任講師の指導を受けながらエッセーの書き方を学んでいます。教室は月1回のペースで開かれ、毎回受講生が作品を持ち寄り、作品の講評を講師から受けます。受講は4月から翌年の3月まで。




「夫の夏」 吉野 久美子(53)=大樹町*大樹教室 2018/08/15

 暑い日が続くと夫はぼやく。
 「開襟のシャツって売ってないよなあ」
 そう、私も夏になると探してみるのだけれども、なかなか仕事用に着られるような開襟シャツは売っていない。ネットショップで検索しても、アロハシャツだったり、若い人向けの派手なプリントの入ったものだったりで、とても定年間近の夫が着るようなものではない。
 クールビズが定着して、夏はノーネクタイになってから、夫は仕事着には、ボタンダウンのシャツを好んで着ている。理由は襟もとがだらしなくならないから、なのだそうだ。
 でも、ボタンダウンは暑い、夫が太っているからだけではない。やっぱり、高温多湿の日本の夏は、開襟シャツだ、と昭和脳な私達夫婦は思い至るのだ。襟が立たなくて、首まわりがやや広く、ついでに袖ぐりも広ければ言うことはない。
 私の父は、どうしても暑い日になると、古い開襟シャツを着ていた。若い頃、仕事で着ていたものだ、と母から聞いた。薄くてサラリとした着心地が気に入っていたらしく、体形も変わることもなかったので、亡くなるまで二十年以上愛用していた。きっと母のことだから、今でも大事にしまってあるにちがいない。
 ノスタルジーに駆られて開襟シャツを探してはいたけれど、重大なことに気付いた。太って腹の出た夫が、開襟シャツを着てみたところで、果たして本当にゆったり涼しいのか、考えてみるまでもない。


 
 バックナンバー
● 霊能力」 綱島 修(64)=幕別町*帯広教室 2018/08/08
● 風のご利益」 原田 律子(85)=士幌町*上士幌教室 2018/08/01
● 日本の習わし」 武藤 紀善(58)=帯広市*帯広教室 2018/07/25
● 印鑑」 大風 芳子(83)=音更町*鹿追教室 2018/07/18
● 結婚記念日」 海富 智恵(61)=帯広市*帯広教室 2018/07/11
● 最後の運動会」 大和田 仲善(80)=幕別町*大樹教室 2018/07/04
● なんか、いい。」 清水 宮子(66)=本別町*帯広教室 2018/06/27
● 後悔」 高橋 真奈美(57)=音更町*芽室教室 2018/06/20
● 亡き人」 高橋 史子(63)=横浜市*帯広教室 2018/06/13
● 桜が散る公園で」 荒木 裕子(72)=清水町*大樹教室 2018/06/06
● カタクリ」 柿田 好子(73)=帯広市*帯広教室 2018/05/30
● やれやれ」 服部 園子(61)=大樹町*大樹教室 2018/05/23
● 懐かしい味」 福井 えり子(63)=帯広市*帯広教室 2018/05/16
● 春うらら」 高原 都子(57)=帯広市*帯広教室 2018/05/09
● 鹿追文藝にエッセーが掲載された」 石川 誠(44)=鹿追町*鹿追教室 2018/05/02
● 深夜の楽しみ」 金森 克仁(62)=帯広市*芽室会場 2018/04/25
● 父と動き出した時計」 中山 由香里(56)=帯広市*帯広会場 2018/04/18
● もしものはなし・・・」 山本 常子(74)=大樹町*大樹教室 2018/04/11
● 猫の介護」 猫本 由紀恵(46)=帯広市*帯広教室 2018/04/04
● 心を癒やす園芸療法」 小野 忠三郎(76)=帯広市*帯広教室 2018/03/28
● 断トツの収穫」 樋口 厚宏(82)=足寄町*上士幌教室 2018/03/14
● 劣等生か優等生か」 戸塚 正太郎(69)=新得町*鹿追教室 2018/03/07
● 『スカイプ』しようぜ!」 中村 稔枝(69)=大樹町*大樹会場 2018/02/28
● 助手席のワナ」 井戸 真由美(56)=帯広市*帯広会場 2018/02/21
● ミルキープリンセス」 市川 スナ子(78)=帯広市*帯広会場 2018/02/14
● 夢中で遊べた頃」 松田 陽子(66)=幕別町*帯広会場 2018/02/07
● なぜ私は書くのか」 梶澤 美佐江(47)=芽室町*芽室会場 2018/01/31
● 回想」 加藤 サツキ(77)=鹿追町*鹿追会場 2018/01/24
● 赤い手袋」 吉野 久美子(52)=大樹町*大樹会場 2018/01/17
● あの一言が!」 中野 美砂子(75)=伊達市*帯広会場 2018/01/10
北海道新聞社ページへ
戻る