北海道新聞帯広支社
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「後悔」 高橋 真奈美(57)=音更町*芽室教室 2018/06/20

 若いころ、通勤電車の痴漢に悩まされた。
 SNS(会員制交流サイト)など無かったが、○×線の何時ごろが多い、どこそこ駅付近が危ないなどと情報を交換しあったものだ。長身の友人は、ハイヒールを履き腰の位置を他人より高くして防衛をしていた。胸のふくよかな同僚は、正面から抱きつかれたそうで、どうしようもない。
 誰もが痴漢に遭遇しないよう願い、身をよじって逃げるのが関の山だった当時、ある女性の行動に皆びっくりした。
 彼女は不届者の手首を掴(つか)んで頭上に上げ、「痴漢です」と宣言、その男を睨みながら、「何するんだよ、このど変態」と言い放って電車を降り、男を駅員に突き出したそうだ。
 偉い。素晴らしい。でも真似(まね)出来ない。
 最近では、痴漢行為で刑事告発までされることがあるため、以前よりは痴漢が減ったようだ。彼女のような振る舞いをする女性が増えたのかもしれない。
 では、二十代に悩まされたもう一つの不快事、職場のセクハラ行為はどうだろうか?
 上司にお尻や胸を触られるのは日常で、あけすけな猥談(わいだん)の対象にされ、露骨な誘いを受けても、私はあいまいに笑っていた。
 何故かといえば、少しでも嫌な顔をすれば「大人げない」と上司から後々叱責(しっせき)をされるからで、その場をやり過ごすしかなかった。
 暗にセクハラを容認したようなものだ。
 そのために、いまだに若い世代が苦労しているのだとしたら、私にも責任があるかもしれない。


 

 

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