北海道新聞帯広支社
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「猫の介護」 猫本 由紀恵(46)=帯広市*帯広教室  2018/04/04

 飼い猫のピースケはもうすぐ十歳。高齢期に入っている。半年ほど前からエサを食べづらそうにしたり、口からよだれを垂らしたりするようになった。
 動物病院へ連れて行き、よく効くという一本四千円の注射を打ってもらった。その夜は痛みが取れたのか、ピースケはガツガツとエサを食べた。
 しかし、二週間で効果は薄れ、すっかり元に戻ってしまった。猫の口内炎は一生続くと聞いたが、さて、どうしたものか‥。
 介護福祉士の私。一応摂食と嚥下(えんげ)の知識はある。注射しないで済む良い方法は他にないのか。まず食事の様子を観察することにした。
 ピースケの前歯は一本抜けており、さらに口内炎で口が閉じにくいようである。唾液も口からダラダラ流れてしまい、飲み込むことができない。人間もそうだが、口を閉じて噛(か)み、食べ物を唾液と混ぜてひと塊にしなければ飲み込むことはできないのだ。
 私は手のひらをくぼませてエサを乗せ、ピースケの口元に当てた。一旦(いったん)口の中に入ったエサは、やはりポロリと私の手の中に落ちた。だがいつもの痛みは出なかったようだ。私の手のくぼみをよだれまみれにして、再びエサを口にした。
 食事の介助は大成功。ほとんど痛みを訴えることなく、全て食べることができた。良い方法が見つかったが、どうしたものか‥。


 

 

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