北海道新聞帯広支社
Hokkaido shimbun press Obihiro branch

「回想」 加藤 サツキ(77)=鹿追町*鹿追会場  2018/01/24

 昨年、穏やかなお正月の朝一番。帯広空港からの出発に、職員の方々が滑走路に並んで、
 「明けましておめでとうございます。お元気に行ってらっしゃい」
 と書いた横断幕を持って送ってくれた。
 慌ただしく家を出て、空港に向かう途中、薄雲に覆われた、やわらかい初日の出に出会った。家族五人がそろっての旅はまれなこと。元気であればこそである。
 企画してくれた子供たちに感謝、感謝。
 行く先で珍しいことや楽しいこと、いろんな出会いがあって、嫌なことはすぐどこかに吹っ飛んでしまいそうな、晴れやかな空の旅が始まる。
 聞こえるのはエンジンの音だけ。周りに座っている人たちの話し声は、それほど耳障りにもならず、順調に一路東京へと進んでいる。
 長男は兄の貫禄、次男は上と下に気を使い、三男は兄二人の言い分に口を挟む機会をねらう。三人で一人前の智恵を出し合いながらの旅である。
 東京では大勢の人の流れに、たちまち五人は紛れ込んでしまう。目印を決め、絶えず気を使いながらの行動である。
 一度離れると合流するまで、いかに手間ひまがかかるか。都会に慣れない私たち夫婦は、景色を見る余裕もなく、はぐれないようにただ気を使っているだけだ。
 携帯で呼び合っても、雑踏の中では聞き取れず、背中合わせで話をしても通じなかった。
 そんなことを思い出しながら、今年はゆっくり新年を送っている。


 

 

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