北海道新聞帯広支社
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「あの一言が!」 中野 美砂子(75)=伊達市*帯広会場 2018/01/10

 エッセイ教室に参加して3年が経つ。初めはすぐに辞(や)めるだろうと思っていた。
 だが、考える面白さと講評を楽しみに待つワクワク感が心地よく、今も続いている。
 一度は教室で受講したいと思っていた。しかし、教室のある曜日は10年以上続いている別の勉強会がある。それでも昨年11月、帯広行きを決めて宿も予約した。ところが日勝峠が不通で諦めることになった。
 最近の3年間は多忙で10月まで暇がない。11月はちょっと余裕がある。今年こそ参加しよう。教室の後は、夫とともに2、3日の旅をしようと、今年も早くから宿を予約していた。夫も楽しみな様子で、愛犬のホテルも予約し、釧路がいいか、北見がいいかと話していた。
 毎年恒例の玄米漬。自家製の大根は見事な出来だった。帯広行きまでには漬け終わっている予定だった。
 だが、11月の伊達の天候は悪かった。大根は見事過ぎてなかなか干し上がらない。焦った。そのうち、喉が焼けるように痛くなり、鼻水も出てくる。時々は、せきも出る。帯広行きまでにはよくなるだろうと願いつつ、漬物を漬け始めた。体調が悪いので作業が進まない。私がイライラすると手伝う夫もイラついて無駄な動きが多い。
 「もう少し優しく。的確に」
 「そんな事言うなら、帯広付いて行ってやんないぞ」
 売り言葉に買い言葉で「要らない」と言ってしまった。
 付いて行く? 一緒に行くから楽しみにしてたんじゃないの。ショックだった。あの一言が。
 風邪は治らず、結局帯広には行けなかった。

(この作品は2017年11月に執筆したものです)


 

 

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