北海道新聞帯広支社
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「大人のコンサート」 木嶋 伸一(69)=鹿追町*鹿追会場 2017/12/06

 友人夫婦と3人で、札幌まで五輪真弓のコンサートに行った。
 会場は「ニトリ文化ホール」。午後5時半開演なので、昼過(す)ぎには車で出発した。
 『恋人よ』の大ヒットから37年。今年で音楽活動48年目だという。しばらく第一線から遠ざかっていたものの会場は満席で、未(いま)だに人気は衰えていないようだ。
 拍手と歓声の中、幕が開き、純白の衣装で五輪真弓が登場。意外と小柄である。挨拶(あいさつ)してすぐ唄(うた)い始めた。トレードマークだった長い髪を肩までのセミロングにし、広い額の上部を前髪で隠して、ずい分印象が変わった。「アラ還(かん)」の彼女がまるで少女のように儚(はかな)げに見えて、いい感じのイメチェンである。
 終演までの2時間、彼女はたった独りで唄い続けた。よく通る柔らかな声も、豊かな声量も昔のままだ。しかも、出ずっぱりの唄いっ放しなのに、その声を最後まで変えずに維持し続けられるのは驚異的だと思う。
 曲目は全て彼女の作詞作曲だ。久しぶりに聴いた『恋人よ』は、やはり名曲だった。
 バラードはしっとりと。ギターの弾き語りは囁(ささや)くように。1曲毎(ごと)に惜しみない拍手を受け、トークを挟んでまた唄う。落ち着いた流れが心地よく、大人のコンサートである。私はずっと静かな興奮に包まれていた。
 カーテンコールのあと、五輪真弓はライトの輪から抜け出し、溶け去るがごとくに舞台の袖から消えていった。私たちの胸に、暖かい余韻を残して。


 

 

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