北海道新聞帯広支社
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「学芸会に思う」 斎藤 優子(58)=更別村*大樹会場 2017/11/29

 先日、図書の移動貸出事業で、村内の小学校へ出かけた。学習発表会に向けた練習に熱が入っているようで、児童による器楽演奏や劇の台詞(せりふ)が、廊下の向こうから聞こえてきた。可愛(かわい)い歌声のBGMを聴きながら、貸出準備を進めているうちに、自分の子ども時代に体験した学芸会の光景が甦(よみがえ)ってきた。
 保育園のお遊戯発表会では、白雪姫の仇(かたき)役である魔女を演じた。毒リンゴを食べさせて「うまくいったわい。イヒヒヒ…」と、肩を震わせる演技が、妙に気に入った。悪役の味を占めた私は、小学校の学芸会でも、主人公をいじめる役や我(わ)が儘(まま)な性格の役柄を楽しんだ。いかに自分を皆に憎らしく思わせるかと、台詞回しにも工夫を凝らした。
 中学生の時は自分達(たち)で脚本を書き、ガリ勉の嫌な男子生徒役を演じたが、「そんなことをしていたら、いい高校には入れない」という台詞は、当時の自分達の不安を思いきり代弁した積もりだった。
 主人公をもり立てる縁の下の力持ちの気持ちは、大人になった今でも私の中で生きている。陰で雑用をこなしながら、周囲の声に耳を傾けたり、全体を見渡すことが出来るのは、裏方の醍醐味(だいごみ)である。
 一部の学校では、主役のダブルキャストや何人もの主人公が舞台に登場することがあるらしい。スポットライトへの憧れは理解出来るけれど、一人のヒーローの許(もと)には大勢のサポーターがいることを分かるといいな、と思いつつ学校を後にした。


 

 

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