北海道新聞帯広支社
Hokkaido shimbun press Obihiro branch

「体験いろいろ」 高橋 史子(62)=横浜市*帯広会場 2017/09/20

 恐怖は、日常の中に潜んでいる。
 ある日、トイレ掃除後に隣のバスルームで入浴し、引き戸を開けて台所へ出ようとしたところ、戸が左側に動かない。掃除した時はちり一つ落ちていなかったのに、何かが引っかかる。
 3回くらい、精いっぱい力を込めると、ようやく戸が開いた。1分足らずの短い間ながら、パニック気分を存分に味わった。
 ずいぶん昔、閉店時間間際の銀行のトイレで、個室の戸が開かなくなった体験を思い出したからだ。あの時もさんざん力を入れ、「誰かー」と助けを求めた。幸い外からは戸を開けることができ、職員の方が救出してくれたけれど、置き去りの悪夢が頭をよぎった。
 またある日のこと。テレビを消そうとしたところ、電源が切れず、画面に「音声多重のため切り替えられません」という表示が現れた。リモコンのボタンをいくら押しても変化がない。
 メーカーの相談センターに電話したところ、「ただいま混み合っています」の自動音声が流れてきた。時刻は午後5時40分、相談受け付けは午後6時まで。焦る気持ちを抑え、何度も電話を繰り返した。
 ようやくつながったのは午後5時55分。ほどなく担当者がわが家を訪れ、リモコンを見てくれた。「音声ボタン」が陥没して、引っかかっていたのが原因だった。問題のボタンを押して引っ込みを直すと、画面は何事もなく元に戻った。
 ことほど左様に、世界は危険でいっぱいだ。次回はうまく対処できるだろうか。


 

 

北海道新聞社ページへ
戻る