北海道新聞帯広支社
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「姉」 福井 えり子(62)=帯広市*帯広会場 2017/08/23

 夕方の四時近くになって、ようやく姉から連絡がきた。
 「今から札幌に行くことになった。帯広では手術できないからって、札幌の病院を紹介されたの。すぐに行きなさいって」
 一週間ほど前から左目が見えなくなったと言っていた。若い頃から白内障があって、それが悪化したものと思っていたらしい。朝から受診しに行っていた病院で「網膜剥離」と診断された。一刻も早い処置が必要だという。
 母が亡くなったばかりでまだ四十九日も終わっていない。両親ともにいなくなってしまって、二人姉妹の私たちは「お互い健康に気をつけて支えあわないとね」と話していたばかりだった。
 実家の片付けも二人一緒だと思い切った判断もできる。一人だと気がめいるばかりだ。
 私も少し前に飛蚊(ひぶん)症になって、視界がクリアではなくなった。それだけでも不自由を感じているのに、もし見えなくなったらと悪い結果を想像してしまう。
 “何を考えてるの”と私に喝(かつ)を入れる。
 二日後、手術は成功したと知らせがあった。看護師の姪(めい)が立ち会っていてくれたというから姉も心強かっただろう。術後がまた大変で、網膜がくっつくようにずっと下をむいていなければならないらしい。下を向いたまま寝るのが辛いと電話で話していた。
 いつもの元気な姉で戻ってきて欲(ほ)しい。


 

 

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