北海道新聞帯広支社
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「五月の歓び」 舘盛 静子(66)=芽室町*芽室会場 2017/07/05

 一年のうちで五月が一番好きだ。雪解けを待ちわびていた自然が一斉に活動を始める。そのスピードは朝と夕方で違いがわかるほど速い。その変化を見逃すまいと、野山に出ることが多くなる。
 若葉といっても、木によって微妙に色が違う。赤っぽい葉、黄色っぽい葉、白っぽい葉、銀ねず色の葉。様々(さまざま)な色合いの若葉が混じり合っていると、まるで山全体がエヘエヘと笑っているように見えて楽しい。
 春の妖精と呼ばれる可憐(かれん)な花たちが、次々と短い盛りを終えて移ろっていく。その全ての花々と会いたくて、野山をただうろつき回る。花の名を覚えて愛着が湧くほどに、花の方から私の視界にとびこんできてくれるようになるのは不思議だ。
 室内の鉢花も、優しい言葉をかければ良く咲く。山の中で人知れず咲く花は、一度も声をかけてもらえずに、花期を終えるのだろう。だから花を見つけると「可愛(かわい)い!きれい!良く咲いたね!」と最高の賛辞を贈ることにしている。
 私の定点観察地は嵐山、国見山、新得神社山だ。どこにどの花があるか、だいたい覚えているが、それでも新しい発見はある。先日は国見山でベニバナイチヤクソウの群落を見つけた。逆に例年見ているフデリンドウを見かけなかったのが、心配の種になる。
 春の歓(よろこ)びを満喫する五月、私の浮かれた野山歩きはまだしばらく続く。


 

 

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