北海道新聞帯広支社
Hokkaido shimbun press Obihiro branch

「玄米漬け」 中野 美砂子(74)=伊達市*帯広会場 2017/06/07

 シャリーン、携帯電話のメール着信音だ。笑顔の絵文字とパリポリの繰り返しサンキュウ。Sさんからお礼の知らせだった。
 私は漬物が好きだ。特に大根の食感が好き。
 二十数年前室蘭に住んでいたころ、よく行く焼き鳥屋の奥さんと友だちになった。息子たちが友人だったので、自然と母親同士も親しくなっていた。
 その彼女が冬になると大根の玄米漬けを二本くれた。美味(おい)しくて食べるのが止まらない。
 ある時、もう一本分けてと頼むと
 「漬けるの大変なんだよ。教えるから自分で作ってみたら」
 秋、彼女のメモを頼りに挑戦した。美味しい!
 毎日食べられる嬉(うれ)しさ。それからは毎年大根の玄米漬けを作るようになった。
 初めのころは三十本位だった。今は百本以上漬けている。
 干し大根ができると古い電気釜も動員、一晩うるかした玄米を炊く。炊きあがった玄米が四十度になったら、米麹(こうじ)、塩、ザラメ、昆布、ナンバンを入れ一気に混ぜ、漬けこむ。
 この時の温度と漬ける早さで麹菌の発酵が変わる。毎年微妙に味が変わる。
 作った半分は親類や友人への土産替わりになる。首を長くして待つ人もいる。メールはその待っていてくれた友人からのもの。留守宅に置いてきたことへのお礼だった。
 玄米漬けは少し暖かくなっても味があまり変わらない。昨日、小さい樽に移した。残り十五本。大切に食べよう。


 

 

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