北海道新聞帯広支社
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「パイナップル」 吉野 久美子(52)=大樹町*大樹会場 2017/04/12

 月曜日の朝、宅配便でパイナップルが1箱届いた。週末、夫が酔った勢いでインターネットショッピングで買ったものだ。
 普段、私の通販好きを非難する夫に対して「パイナップルなんて、皮と葉ばかりで送料のコストが高いし、剥(む)くのも大変だし、そんなにたくさんを腐らせずには食べられない」などと文句を並べる。
 腹の虫が治まらないので、箱ごと玄関に放置しようかとも思った。けれども、大玉パイナップル5個入りの箱はあまりにも大きくて邪魔なので、仕方なく解体することにした。包丁を研ぎ、床に新聞紙を広げてはみたものの、さて、どうしたら良いものか…。こんな時こそ、インターネットなのだ、と思いながらもまた、心の中で夫を叱る。
 保存方法を調べてみると、パイナップルは追熟しないので、収穫した時点より甘くなることはないのだそうだ。けれども収穫後に鮮度が下がると、少し酸味が抜けて食べやすくなるとのこと。ならば、全部を一口大に切って、食べきれない分は冷凍保存すると良いのでは、と思うのだが、夫は「生のまま食べたい」と譲らない。ますます腹が立ち、包丁を持つ手に力が入る。
 役得とばかりに、甘い部分をつまみ食いしながら思った。「食べ飽きるくらいなら、冷凍して何度も楽しみたい」と。なぜなら、夫は知らないだろうが、パイナップルは私の大好物なのだから。


 

 

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