北海道新聞帯広支社
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「信じたい」 江口 厚子(69)=帯広市*帯広会場 2017/03/15

 発達障害のある長男が、学校で適切な関わりを受けられないと嘆く友人。その姿が妹と重なった。
 七歳違いの妹は、目のパッチリした明るい表情をしていた。小学校に上がる頃で「イヤ」「ウン」程度の言葉を話す知的障害があったが、普通学級に入学した。その頃、特別な配慮をしたクラスは設けられていなかった。
 一、二年生を受け持った先生は「A子ちゃんは皆の宝だよ。大切にしてあげようね」と話された。私が妹を連れて校門を入ると、妹を見つけた子が「A子ちゃん」と迎えに来て、クラスに連れて行ってくれた。妹もにこにこと手をつなぐ。二年間は、妹にとって楽しい時間だったと思う。
 その後、妹は知的障害児・者の養護施設に入所した。二カ月ほどして外泊のため我(わ)が家に戻って来た妹は、にらむようなきつい表情だった。
 それ以上に衝撃だったのが夕食の時だ。ご飯を出されると、その上にあっという間に自分のおかずを全部のせた。家にいた時は母に急(せ)かされて、やっと箸を進めていたのに。
 同級生も幼かったとは言え、クラス全員で妹を受け入れてくれた場もあれば、孤立して身を守らねばならない場もあったのだ。
 知的障害等は千差万別で、一人一人の障害の現れ方は違っている。関わる方も、困難な事も多いだろう。
 あの時から四十数年経(た)っている。その頃に比べ、より良く改善されていると信じたい。


 

 

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