「誰か私のスカーフを知らない、百均で買ったエルメスのスカーフだけど」。私は、家事をする時いつも、バンダナを被る。今それが見当たらない。「百均で、エルメスが買えるの」と子供たちは笑っている。
数万円はする高価なブランド品のエルメスが、百均で売っている訳(わけ)がない。本物を買えない口惜しさと高級ブランド品が似合わない悲しさで、私は勝手にそう言っているだけ。
百均でこのバンダナを買って10年以上は経(た)つ。MADE IN チャイナだが、COTTON100%と印字してあるので長持ちのはず。
帯広駅地下に百均コーナーができた時、百円という安さに惹(ひ)かれ、このバンダナ2枚と、台所用スポンジ、手下(てさ)げ袋など、十数点も買ってしまった。
その頃、広尾にはまだ百均の店はなく、帯広へ行ったついでに買ったが、バス代をかけて百均の買い物をするのはちょっと笑えた。
最近やっと広尾でも、スーパーに百均コーナーができた。そこで買ったのがマグカップ。台所の水呑(の)み用に、乱暴に扱っても壊れはしない。でも“安い”というだけで、百均コーナーばかり眺めていたのでは、私のセンスも磨かれはしない。
「一つだけでいい、本物を持ちたい」という願望はなかなか叶(かな)わない。エルメスどころかブランドという物は、何も持っていない。家計に余裕ができたら、ブランド品が似合うようになったらと、未(いま)だに思っているのだが…。
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