北海道新聞帯広支社
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「桜」 武藤 紀善(56)=帯広市*帯広会場 2017/01/11

 先日、本屋にカレンダーを買いに行った。出始めの時期で、各種そろっていた。
 人気のあるものは、早く売れてしまうのかもしれない。私が選んだのは、単なる事務的な飾り気のないものだったが。
 ふと見ると、背の大きな外国人が奥さんらしい人と一緒に、大きな桜のカレンダーを見ながら小さい声で話している。
 普通の服を着ていたので、旅行者か帯広に住んでいるのかは分からなかったけれど、ああ、これが文化の違いかと思った。
 我々は「桜前線」などと普通に言い、きれいな花と考えて、自然に受け入れている。
 当たり前の存在なので、あえて桜のカレンダーなど選ばない。
 しかし、異文化の人にとっては、あまりに違う東洋の国の花なのかもしれない。
 桜を見て宴会を開くなどという文化は、外国には見られない、日本独特のものなのだろう。
 少し考えていたら、あちらの人もちょっとこちらを見たので、急いで自分の代金を支払って店を出た。
 外国の人が、桜の柄をなぜ選ぶのか。本当の気持ちは、私には理解できないことかもしれない。
 私は日本にいるのだと実感させられた、ほんの一時の出来事だった。


 

 

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